泉優佳理さん

1.主な活動内容は何ですか?

北九州ESD協議会に所属したきっかけが、北九州市の環境関係の委員をしていたことで、それ以降、環境首都検定のことなどに関わり、環境問題と市民をつなぐ活動をしています。また、仕事の関係で関わっている、インドやスウェーデンに関して、国際理解を進めるための活動をしています。
現在は、また、“科学技術コミュニケーター”として、環境のことや、科学技術などを分かりやすい言葉で、様々な人に伝える活動もしています。そして、伝え方のコツや分かりやすく伝える事の大切さも、お伝えしています。 いろいろな場面で伝えていく中で、自分自身が伝え方の研究をしていくと同時に、その学びと自分の知識を活用して、様々な人の役に立つことを伝えていきたいと思っています。

2.活動を始めたきっかけは何ですか?

現在の活動をはじめたきっかけはいくつかあります。一つは、北九州市の環境関係の委員をしていたこと、二つ目は、インド出身のスウェーデンの大学教授に出会い、金属リサイクルの調査研究にかかわるきっかけを作ってくださったことです。この先生との仕事の中で、違う文化を持つ人同士がどうしたら一緒に仕事をしていけるかということを、たくさん体験しました。この先生からは、スウェーデンで働くことを勧められましたが、家族のこともありますので、スウェーデンには移り住まず、日本にいながら、スウェーデンの仕事をすることとなりました。
それから、東日本大震災が起こった際、ニュースなどで科学技術の専門家の皆さんが言っていることは難しく、分かりづらいと思ったことです。震災により沢山の人々が不安を抱えて混乱している中、科学技術の専門家が難しい言葉で話すことで人々が余計に混乱してしまうのではないかと思いました。そのようなことを口にしていると、市の委員会で知り合った大学の先生から“科学技術の伝え方の研究”を勧められ、大学院に入り、環境問題(科学技術)の伝え方の研究で博士号をとったことから、その道で活動を広げていくことになりました。

3.活動の魅力は何ですか?

難しい言葉を使っての説明では、伝わりづらく、理解されにくいだけではなく、人を不安にさせる要素になります。分かりやすい言葉で伝えていくことは、社会での意思疎通の無駄や不必要な不安がなくなることにつながると思っています。
「絶対これは誰かの役に立つ!」と思っているからこそ活動を続けられています。

4.今後の展望は何ですか?

できることを少しずつやっていきたいと思います。わかりやすく伝えること、伝わることが大事だということに誰かが気づいてもらえるように活動していきたいです。特に企業の人や専門家のような難しく話をする人に、分かりやすく伝えることの大切さと、その簡単な手法だけでも伝えていきたいです。

5.自身の10代~20代の頃について教えてください!

大学時代、クラスに女子が1人しかおらず、授業をさぼることも、授業中に居眠りをすることもできず、大学を出たらすぐに結婚と親から言われていたということもあり、大学生活が勉強を出来る最後のチャンスだと思い無我夢中で勉強をしていました。大学を出てからは、すぐに専業主婦となり、夫の転勤で、初めて見知らぬ土地であった神奈川に引っ越したり、親を看取ったり、実家を整理したり、母親にもなり・・・ と、とにかく忙しかったです。

6.活動を通して最も印象に残っていることはなんですか?

2012年にリオデジャネイロで開催されたリオ+20にESD協議会の方と9人くらいで行きました。この会議が私にとって大きな転機となりました。ブラジル政府が主催しているフォーラムのエネルギーに関するセッションに参加しました。当時、日本では、東日本大震災により原子力発電の可否が問題になっていました。このセッションでも原子力エネルギー問題に関する話題が上がると思っていましたが、そのような話はあがらず、話題に出たことは開発途上国の人たちの「どんなエネルギーの方法でもいいから、私たちにエネルギー、技術を与えてください、そのためのお金もないからお金もください」という話でした。その時に、日本とこんなに違うだという差をひしひしと感じました。世界は公平じゃなくて、たまたま恵まれた人とたまたま恵まれていない人がいることも知り、日本は、教育にしても、生活にしてもエネルギーにしてもラッキーな国だと思いました。ラッキーな人はアンラッキーな人のために何かをする責任を負っているのではないかという気付きを、このセッションで得たことが、最も印象に残っていることです。

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